2017年3月23日木曜日

50歳からの演劇体験講座2017年3月

「50歳からの演劇体験講座」2017年3月   
3月10日、17日、「50歳からの演劇体験講座」が、左京西部いきいき活動センター会議室1にて開催されました。参加者の皆さまには10日もしくは17日を選んで頂き、10日には5名、17日には3名の方がシニア劇団空いろのメンバーと共に、和やかな空気の中で体験講座が行う事ができました。以下講座の記録です。

 ウォーミングアップから体験講座が始まりました。
演劇の素材は「身体」、まずは自分の身体を知る事から始めましょう。

腕をリラックスさせて胴体を左右に半回転、半回転。「でんでん太鼓のように」というのがピッタリな表現ですね。脚の筋肉も充分に伸ばしましょう。





 次に発声練習です。自分・相手・観客・遠く、という4つの「声を届けるターゲット」がありますが、今日は「遠く」に声を届けます。「アエイウエオアオアイウエオ」が難しければ「アイウエオカキクケコ」と。普段こんなに大きな声を出せないので、ストレス発散にもなります。そして何でもいいから一言の「一言」を考えて発声する中で、楽しいやり取りも生まれました。

発声の後は下の2つのテーマにして講座が進みました。
1.身体で表現する
2.関係性を表現する

一人ずつ出て来てポーズを取ります。既に出ている人に絡んでも絡まなくてもいいという事で。そして何人かで「静止画」を作り、見ている方に場面を想像してタイトルをつけて頂きます。
今、自分は人からどう見えているか、と自分を客観視できるようになりたいものです。役者が舞台に出た瞬間、その立ち位置や目線で、もう何かを客にアピールしています。それがこのエチュードでよく理解できます。


そこで4人ずつのグループに分かれ、与えられた場面をストップモーションで表してみることになりました。
10日は、結婚式、誕生会、お葬式

17日はスーパーのレジ、バス停、エレベーターの3場面を表現しました。



一瞬で場所を説明することができる事がわかります。少し難しい課題もありましたが、見ている方にもよく伝わりました。人にどう自分が見えるか、自分を客観視してみる訓練です。


次は「場所を強化する」というエチュード。
例題の「図書館」。「本屋」との違いを出すにはどうしたらいいでしょう? 新聞を広げて読んだらどうか、という意見がありました。その後チームに分かれ、指定された場所を表現し
最後にストップモーションで止まります。


これは盛り上がり方がサッカーではなく野球でしょうか? ビールを注文し、風船を膨らませていますね。



スクリーンを教室端のホワイトボードに設定することで全員の目線が揃いました。



「関係性」を表現するエチュードでは10日と17日で少し内容の違うものをやってみました。

10日にはオーラのパワーを1から10とし、1、3、5、7、10のパワーを相対的に表現する練習をしました。並んだ椅子に1人ずつ出てきて好きな場所に座り、一斉に出て行くだけの動きの中で、あらかじめ指定された自分のパワーを表します。他の人のパワーはわからないのですが、相対的に自分はどのくらいのパワーを出したらいいかが、問われます。これは「どんな役でもやる」訓練になります。演劇はひとりではなく、相対関係で成り立っているものですね。

17日には2人ずつ組になり、指定された数字の「関係の濃さ」をストップモーションで表現しました。こうして関係性の度合いを数字にあてはめて測ることができるのですね。ふと普段の生活の中でも注意深く観察したくなります。

当日欠席された方も多かったのですが、参加のお申込みは多く、シニアの方が演劇体験にご興味を持たれている事を嬉しく感じました。

2017年3月10日金曜日

「わたしたちの昭和20年展」開催

311日より「わたしたちの昭和20年展」と題して展示会を開催します。




これまでに当センターでは高齢者との世代を越えた交流を目的に「押入れにしまった写真」「食事」「場所」をテーマに思い出のお話をお聞きし、記録する活動を行ってきました。毎回、個人の思い出をお聞きし記録することで、次の世代に公の歴史事実ではない生きた歴史を伝えていけることを目指しています。
今回は、高齢化が進む中、今戦争に関わるお話を聞いておきたいと「昭和20年」というテーマを設けました。これまでの展示では思い出を語っていただける方だけを募集していましたが、今回はそれだけでなくお話を聞き取り、そのエピソードを編集して展示文章を作成するインタビュアーも募集しました。
そのインタビュアーのために聞き書きのための事前研修会を20161216日におこないました。インタビュー時の役割と心構え、話を引き出す手法などについての研修になります。聞き取りポイント(語り手の思っていることだけでなく、そう思う理由をも聴いてみる)や原稿作り(語り手の口調で記述する、語り手の意向で修正されることもある)といった具体的な話があった後、ペアに分かれて模擬聞き取りワークショップをおこないました。
今回の企画には20代から90代、計19名の方が、語り手・聴き手として参加されました。実際のインタビューの場面では初対面にも関わらず、互いに率直に思いの丈を話してくださいました。昭和20年という時代に何があり、どのように受けとめてこられたのかということの一端が垣間見える言葉を残してくれています。聞き書きという場を通して、昭和20年を生きた世代と、経験していない世代は、どのように出会い、何を感じたのでしょうか?
展示に記された語り手の経験は、数時間かけて聞き取った内容を、聴き手の方々が500字にまとめたものです。語り手の体験談と合わせて、聴き手の感想を掲載しました。聴き手が語り手と直に向き合い、語られないことも含めて、語り手の人生全体に思いを馳せるという濃密な出会いの瞬間を経て、この展示は作られました。
また展示しているものと同内容の冊子を作成しました。展示会の終了後も当センターのロビーにてこの冊子は配布していきますので、お持ち帰りいただき今回の展示の模様を残していただければ、またはお知り合いの方にお渡しいただき紹介していただければ幸いです。
 今後、戦争を体験した方から直接話を聞くことはますます難しくなっていきますが、それを語っていた方の、或いはあえて語らなかった方の姿は、聴き手の心に残りつづけ、人と人とのつながりの中で、変容しながら連綿と受け継がれていくのではないかと感じました。そして将来、この時の言葉が別の形で蘇ってくる瞬間があるのではないかと思います。この展示が、これからの時代について考える小さな契機となることを願っています。