2017年3月10日金曜日

「わたしたちの昭和20年展」開催

311日より「わたしたちの昭和20年展」と題して展示会を開催します。




これまでに当センターでは高齢者との世代を越えた交流を目的に「押入れにしまった写真」「食事」「場所」をテーマに思い出のお話をお聞きし、記録する活動を行ってきました。毎回、個人の思い出をお聞きし記録することで、次の世代に公の歴史事実ではない生きた歴史を伝えていけることを目指しています。
今回は、高齢化が進む中、今戦争に関わるお話を聞いておきたいと「昭和20年」というテーマを設けました。これまでの展示では思い出を語っていただける方だけを募集していましたが、今回はそれだけでなくお話を聞き取り、そのエピソードを編集して展示文章を作成するインタビュアーも募集しました。
そのインタビュアーのために聞き書きのための事前研修会を20161216日におこないました。インタビュー時の役割と心構え、話を引き出す手法などについての研修になります。聞き取りポイント(語り手の思っていることだけでなく、そう思う理由をも聴いてみる)や原稿作り(語り手の口調で記述する、語り手の意向で修正されることもある)といった具体的な話があった後、ペアに分かれて模擬聞き取りワークショップをおこないました。
今回の企画には20代から90代、計19名の方が、語り手・聴き手として参加されました。実際のインタビューの場面では初対面にも関わらず、互いに率直に思いの丈を話してくださいました。昭和20年という時代に何があり、どのように受けとめてこられたのかということの一端が垣間見える言葉を残してくれています。聞き書きという場を通して、昭和20年を生きた世代と、経験していない世代は、どのように出会い、何を感じたのでしょうか?
展示に記された語り手の経験は、数時間かけて聞き取った内容を、聴き手の方々が500字にまとめたものです。語り手の体験談と合わせて、聴き手の感想を掲載しました。聴き手が語り手と直に向き合い、語られないことも含めて、語り手の人生全体に思いを馳せるという濃密な出会いの瞬間を経て、この展示は作られました。
また展示しているものと同内容の冊子を作成しました。展示会の終了後も当センターのロビーにてこの冊子は配布していきますので、お持ち帰りいただき今回の展示の模様を残していただければ、またはお知り合いの方にお渡しいただき紹介していただければ幸いです。
 今後、戦争を体験した方から直接話を聞くことはますます難しくなっていきますが、それを語っていた方の、或いはあえて語らなかった方の姿は、聴き手の心に残りつづけ、人と人とのつながりの中で、変容しながら連綿と受け継がれていくのではないかと感じました。そして将来、この時の言葉が別の形で蘇ってくる瞬間があるのではないかと思います。この展示が、これからの時代について考える小さな契機となることを願っています。